解析実習2は板要素の解析です。
LISAのマニュアルの、1.Mechanical(Static)Analysis-->4Node,Mindlin Plate Element,ISO4,LISA Index11
の最下段に練習問題SAMPLE PROBLEMとして載っています。

STEP1 解析概要

以下の1m x 1mの板を対称性を利用し1/4のモデルとして解析する。


モデルの諸元
1.平面形 : 1m x 1mの1/4-->0.5m x 0.5m
2.厚さ : 0.1m
3.ヤング係数 : 10920 N/m2
4.ポアソン比 : 0.3
5.荷重 : 1N/m2の表面等分布荷重
6.支持条件 : 4辺単純支持

STEP2 予備解析

建築学会RC規準の4辺単純支持スラブ応力・たわみ図表より、
(ただしこの図表はポアソン比=0)

1.最大たわみ点はスラブ中央で以下のようになる
 δ=(たわみ係数)・w・lx4 / ( E・t3 ) = 0.048*1.0*1.04/(10920*0.13) = 0.0044m

2.最大曲げモーメントも中央で
 M = (モーメント係数)・w・lx2 = 0.037*1.0*1.02 =0.037Nm
となる。
STEP3 モデルの作成
 
1. 4つのコーナー座標を指定
   Nodesメニュー-->Add Single Nodeで頂点の座標を1点づつ入力。
   X   Y   Z
   0   0   0
   0.5 0   0
   0.5 0.5 0
   0   0.5 0
   ViewメニューでXY平面、画面にフィットさせると4点が表示される。

2. 解析タイプの指定
   Model-->Type of Analysis
-->Mechanic を選択し OK。

3. エレメントタイプの指定
   Elements-->Default Element Typeを選択
   ドロップダウンボックスからMINDLIN4 plate,(4 Nodes),11を選択。
   以下それぞれの値としてMType:0 IType:2 NINTB:2 NINTS:1 Surface Load:1 THIC:0.1
   最下行:空白 を入力しOK。

4. 要素の作成
  Elements-->Add Singleを選択。
   節点番号を1,2,3,4と入力、Add-->Canceで終了。
   要素の細分化をするためにElemnts-->Subdivide-->4 Node Quadrilateralを選択。
   分割数、要素特性番号の入力 ダイアログボックスに鉛直方向の分割数、水平方向分割数、
   要素特性番号を 4,4,1と入力。

   2重節点の消去Nodes-->Sweepコマンドで 0.01程度を入力。
   節点番号の最適化 Model-->Cuthill McKee。   


  ここで各要素に要素特性データを適用する。
   Elements-->Edit Element Specific Dataを選択。
   16要素できているので、from 1 to 16 by 1-->OK
   3.で指定したのと同じデータを入力する。
 
 (3.で指定しておけばokかと思ったがここで再度入力してみた。どうなんだろう?)
 
5. 拘束点の指定
   下に示すモデルを例に拘束点を指定する。
    1/4モデルとしているので、
    A)   21,22,23,24,25節点はY軸回りの回転を拘束。
     1,3,7,13節点もY軸回りの回転を拘束。
    B)   17,18,19,20,25節点はX軸回りの回転を拘束。
         1,2,5,10節点もX軸回りの回転を拘束。
  また、
    C)   1,3,7,13,21及び2,5,10,17節点はZ軸方向の変位を拘束。
  その他の節点は拘束しない。

    A)を指定するために、該当する節点を窓で囲みConstraints-->Add/Editを選択。
  Rotation about the Y-axisにチェック。

  B)を指定するために、該当する節点を窓で囲みConstraints-->Add/Editを選択。
  Rotation about the X-axisにチェック。

    C)を指定するために1-21及び2-17を窓で囲み、
  Linear displacement along the Z-axisをチェック。
  以上で境界条件がセットされた。



STEP4 解析の実行

   グローバルプロパティの指定及び解析の実行
   まず、Model-->Global Propertiesを選択。
   ダイヤログボックスのYoung's Modulusに10920、Poisson ratioに0.3を入力、その他は0。
   節点変位や後処理用GPHファイルにはチェックを入れておく。
   以上でデータ入力は全て終了。
   データファイルを保存し解析をするために、ツールバーの緑の"="(赤丸部)をクリックする。
   保存&解析がワンクリックで行われる。


STEP5 解析結果及びその検証
 
  解析結果
 以下に解析結果として、Z方向変位とX軸周りの曲げモーメントを示す。

          Z方向最大変位  δmax=0.00426
 
                 
X軸回り最大曲げモーメント   Mmax=0.0443

    STEP2の予備解析と比較してみる。
  最大たわみ 予備解析/LISA = 0.0044 / 0.00426 = 1.0328
   最大曲げM   予備解析/LISA = 0.037 / 0.0443 = 0.8352

    たわみはほとんど誤差の範囲とも考えられるが曲げ応力はその差が大きすぎる。
  いろいろ原因を考えたが分からなかった、メッシュが粗いから? 境界条件の間違え? ・・・・
  ここで偶然に潟zクトシステムのHPで原田義明氏が掲載しているコラム*1を見つけた。
  その中で同じような疑問を検証していた。その原因は予備解析で用いた建築学会RC規準の図表にあった。
  学会の図表の出典は東洋一、小森清司共著 建築構造学体系11巻、平板構造で、
  そこでは、ポアソン比 = 0 として計算されている。
  LISAでは0.3として解析した。これが解析結果の誤差の原因であるらしい。
  
*1 http://www.hoctsystem.co.jp/story/hitokoto/02.html

   
    よってポアソン比 = 0 として再計算してみる。
  ここでは結果のみ示す、
  最大たわみ LISA = 0.0046
   最大曲げM   LISA = 0.0342
  図表 vs LISAの比は、
    最大たわみ 予備解析/LISA = 0.0044 / 0.0046 = 0.9565
   最大曲げM   予備解析/LISA = 0.037 / 0.0342 = 1.0818
    以上より誤差は大分改善されて、解析値としてほぼ妥当といえる。
  (∵ 図表からの読取にかなりの誤差を含んでもいる)



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